オーバーホールしないと何が起きるのか
――「まだ動いているから大丈夫」が一番危ない理由
「時間は合っているし、普通に動いている。
だからオーバーホールは、まだ必要ないですよね?」
時計の相談で、いちばん多い言葉です。
そして同時に、いちばん危険な判断でもあります。
なぜなら、時計は
「壊れてから不調になる」機械ではないからです。
目に見えない内部で静かにダメージが進行し、
ある日突然、修理費が跳ね上がる――
それが、オーバーホールをしない時計に起きている現実です。
この記事では、
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なぜオーバーホールをしないと問題が起きるのか
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放置すると内部で何が起きているのか
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正しい判断とタイミングはいつなのか
を、時計の構造を理解している専門店の視点で、
できるだけ分かりやすく解説します。
そもそもオーバーホールとは何をする作業なのか
オーバーホールとは、簡単に言えば
時計を一度すべて分解し、内部をリセットする作業です。
具体的には、
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ムーブメントを完全に分解
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古くなった潤滑油をすべて除去
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摩耗・劣化した部品の点検
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必要に応じた部品交換
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適切な箇所への再注油
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組み立て後の精度調整・動作確認
を行います。
重要なのは、
「壊れた部品を直す作業」ではないという点です。
オーバーホールは
👉 壊れる前に、壊れない状態に戻す作業
これが本質です。
オーバーホールしないと内部で何が起きるのか
① 潤滑油が劣化・消失する
時計の内部には、非常に細かい歯車や軸があります。
それらはすべて、専用の潤滑油によって守られています。
しかし潤滑油は、永久ではありません。
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時間とともに酸化する
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粘度が変わる
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乾いて消える
この状態になると、内部では何が起きるか。
👉 金属同士が直接こすれ始めます
これは「摩耗」の始まりです。
② 摩耗は止まらない(元に戻らない)
摩耗は、一度始まると自然に止まりません。
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軸が削れる
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歯車の噛み合わせが狂う
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金属粉が内部に広がる
この段階になると、
オーバーホールだけでは済まなくなることがあります。
本来なら
「分解清掃+注油」で終わるはずだった時計が、
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部品交換が必要
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最悪の場合、部品製作が必要
となり、
費用も期間も大きく変わります。
③ 精度が落ちる=故障の初期症状
「少し遅れるだけ」
「たまに止まるだけ」
これらは多くの方が軽視しがちですが、
時計の世界では明確な異常サインです。
精度低下の裏では、
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摩擦増大
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油切れ
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部品摩耗
が進行しています。
つまり
👉 動いている=健康
ではない!
ということです。
よくある誤解「止まったらオーバーホールすればいい」
これは非常に危険な考え方です。
なぜなら、
止まった原因がすでに“重症”の場合があるからです。
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摩耗が限界に達した
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部品が破損した
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金属粉が全体に回った
こうなると、
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修理費が高額になる
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修理不可になる可能性もある
「止まる前」に手を打つ。
これが、時計を長く使う唯一の方法です。
オーバーホールの正しい目安は「年数」だけではない
一般的に言われる目安は、
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機械式時計:3〜5年
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クォーツ時計:5〜7年
ですが、これはあくまで目安です。
実際には、
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使用頻度
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保管環境
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防水性能の有無
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過去のメンテナンス履歴
によって状態は大きく異なります。
だからこそ必要なのが、
「診断」できる店です。
都屋兄弟商会が大切にしている考え方
都屋兄弟商会では、
「とりあえずオーバーホールしましょう」
とは言いません。
まず行うのは、
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状態の確認
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どこがどう劣化しているかの説明
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今やるべき作業・まだ不要な作業の整理
です。
電池交換であっても、
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内部の油の状態
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パッキンの劣化
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水入りの兆候
を確認し、
必要であればオーバーホールを提案します。
これは
👉 修理まで判断できる店
だからこそできることです。
オーバーホールは「費用」ではなく「保険」
オーバーホールを
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高い
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もったいない
と感じる気持ちは、よく分かります。
ですが視点を変えてみてください。
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高額修理を防ぐ
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時計の寿命を延ばす
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思い出を守る
これは、
👉 時計にかける保険
とも言えます。

まとめ|動いている今こそ、いちばん安全なタイミング
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オーバーホールしないと内部で摩耗が進む
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不調は「壊れる前のサイン」
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止まってからでは遅い場合がある
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正しい判断には「診断」が必要
時計は、
きちんと向き合えば、何十年も使える道具です。
「まだ動いているから大丈夫」ではなく、
「今の状態を知る」こと。
それが、時計を大切に使い続ける第一歩です。
都屋兄弟商会は、
電池交換だけで終わらせない
“時計を診断できる店”として、
あなたの時計と向き合います。
気になることがあれば、
相談だけでもお気軽にお立ち寄りください。